Okayama Analysis and Probability Seminar


このたび岡山大学周辺の解析系の研究者を対象としたセミナー を立ち上げました。
まずは月1回のペースをめどにやっていけたらと思っています。
このセミナーで講演していただける方は遠慮なく世話人にご連絡下さい。
またこのセミナーでの講演者の推薦や、このセミナーに対する ご意見・ご要望もいただけると幸いです。

日時:現在のところ水曜もしくは木曜の 夕方に60分もしくは90分でやっています (講演者の都合に合わせます)。
場所:岡山大学理学部1号館 A-307号室 (解析セミナー室)
世話人:大下 承民 (理学部数学科)、河備 浩司(理学部数学科)、塩沢 裕一(環境理工学部環境数理学科)
協賛メンバー:市原 直幸(広島大学総合科学部)、廣川 真男(理学部数学科)、曽布川 拓也(教育学部数学教室)

2010年度のセミナー案内は、塩沢さんの ホームページ に移動しました。



2009 年度の記録



10月10日(土)〜10月12日(月) 研究集会「マルコフ過程と確率解析」 @大学院自然科学研究科棟第二講義室

講演者リスト:市原 直幸(広島大学)、今村 悠里 (立命館大学)、 上村 稔大 (関西大学)
熊谷 隆 (京都大学)、 白石 大典 (京都大学)、 竹田 雅好 (東北大学)、嶽村 智子 (奈良女子大学)
中島 誠 (京都大学)、 日野 正訓 (京都大学)、福島 正俊 (大阪大学)、 三上 敏夫 (広島大学)
矢野 孝次 (神戸大学)、 矢野 裕子 (京都大学)


7月24日(金)岡山幾何学談話会との合同ダブルヘッター@合同演習室

講演その1: 15:00〜16:30
講師:田中 亮吉 氏(京都大学大学院理学研究科・D1)
題目: 無限グラフのGromov-Hausdorff極限と大偏差原理について
要旨: べき零群が作用する無限グラフにおいて、その上の ランダム・ウォークの時間無限大での挙動と、
グラフのGromov-Hausdorff極限との関係についてお話したいと思います。 特に、大偏差原理の評価に現れる
エントロピー関数と、極限空間 上に入るCarnot-Carathéodory距離との関係を論じる予定です。

講演その2: 16:45〜18:15
講師:本多 正平 氏(京都大学大学院理学研究科・D4, visiting at MIT)
題目: リーマン多様体の極限におけるrectifiabilityとラプラシアン
要旨: リッチ曲率が下に一様に有界な多様体列の極限となる, 測度付き距離空間を考える。この測度距離空間において,
ラプラシアンの存在が深谷氏によって予想され,この予想は Cheeger-Coldingによって肯定的に解かれた。
本講演では, 極限空間におけるrectifiabilityに関する結果を若干強め, その一つの応用として極限のラプラシアンの比較定理が示せる ことを紹介したい。
7月6日(月)16:00〜17:30 @合同演習室
講師:内田 善彦 氏(日本銀行金融機構局金融高度化センター&大阪大学金融・保険教育センター)
題目:金融取引とリスク制御(仮題)
要旨:TBA
当時間は、 理学部数学科4年次開講「情報化社会論」の授業ですが、談話会をかねて 全てのスタッフ・学生にもオープンとします。

6月11日(木)16:15〜17:45   6月12日(金)16:30〜18:00に変更!
講師:丸山 徹 氏(慶應義塾大学経済学部)
題目:経済均衡と非線形解析学
要旨:経済を構成する諸部門の意思決定とその間に成り立つ平衡 ―その表現・分析のための解析学的方法について報告する。

5月22日(金)春のダブルヘッター

講演その1: 14:00〜15:30
講師:林 正史 氏(京都大学数理解析研究所)
題目: ウィーナー・ポアソン空間上の漸近展開定理について
要旨: 漸近展開定理は S.Watanabe (1984) によって示され、 熱方程式の基本解の短時間的な挙動の研究に応用された。
近年、この定理は N.Yoshida (2003) N.Kunitomo-A.Takahashi (2003) らにより数理ファイナンスの分野に 応用され、
オプション価格の精緻な近似がこの定理から得られることが 示された。
本講演では石川保志氏(愛媛大)と共同で研究を進めている ウィーナー・ポアソン空間上での漸近展開定理について講演する。

講演その2: 15:45〜17:15
講師:田原 喜宏 氏(東北大学大学院理学研究科)
題目: 一般化されたFeynman-Kac半群の増大度のLp独立性
要旨: 本講演では局所・非局所的なポテンシャルを同時に持ち得る Schrödinger型作用素に対応するFeynman-Kac半群の
Lp増大度の独立性について講演する。主定理はFeynman-Kac半群の Lp増大度がpに依存しない必要十分条件が
L2増大度が 0以下であるというものである。時間があれば定理を適用できる 幾つかの例や大偏差原理への応用などについても述べたい。

2008 年度の記録



1月13日(火)14:30〜15:30
講師:澤野 嘉宏 氏(学習院大学理学部数学科)
題目:Besov空間とTriebel-Lizorkin空間について
要旨:これらの関数空間の定義を導入してからこれらの空間の 効用について自身の結果を交えて解説する。

12月12日(金)16:00〜17:30
講師:西川 貴雄 氏(日本大学理工学部数学科)
題目:境界条件下における界面モデルの流体力学極限
要旨: 実効的界面モデルに対する解析は [Spohn J.Stat.Phys 1992] に端を発し、 [Funaki-Spohn CMP 1997] において、スケール変換の極限
として異方性のある平均曲率流の導出(流体力学極限)が 行われている。この結果は周期境界条件下の系に対するものであり、本質的に
境界条件からの寄与は考慮されていない。本講演では、周期境界条件ではなく、 Dirichlet型境界条件を課した系に対するスケール変換
について論じることとする。なお、相互作用ポテンシャルをより 一般化した場合についての解析が最近進展をみせており、 こちらとの関係についても触れたい。

大学院集中講義(秋学期)12月1日(月)13:30〜12月5日(金)
講師:会田 茂樹 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)

講義題目:最適輸送問題と関数型不等式

要旨: Mongeの最適輸送問題とこれに関連して現れるリーマン幾何的構造を 用いた対数ソボレフ不等式などの
関数型不等式の証明を以下のように 説明する:

1.Introduction
(1)Mongeの問題
(2)Monge-Kantorovichの問題
(3)関数型不等式
(4)Wasserstein距離

2.Brenier-McCannの定理
(1)Brenier-McCannの定理
(2)凸関数の性質
(3)Brenier-McCannの定理の証明

3.確率測度の空間の幾何
(1)リーマン計量の導入
(2)確率測度の空間上の常微分方程式
(3)McCann's interpolation of probabilities
(4)測地線の方程式

4.関数型不等式
(1)エントロピー汎関数
(2)Bakry-Emery criterion, 対数ソボレフ不等式、輸送コスト不等式 (形式的な議論)
(3)対数ソボレフ不等式、輸送コスト不等式(厳密な証明)
(4)輸送コスト不等式: ガウス測度のとき
(5)Hamilton-Jacobi方程式、超縮小性、輸送コスト不等式

参考資料(PDFファイル)


談話会:12月3日(水)15:15〜16:15
講師:松添 博 氏(名古屋工業大学大学院工学研究科)
題目:情報幾何学と統計多様体の幾何学
要旨:ある種の確率密度関数の全体にはリーマン多様体の構造と 双対的なアファイン接続が自然に入ることが知られている。
これを統計学や学習理論などに応用する手法論が情報幾何学である。 また、この確率密度関数族の幾何学構造を
微分幾何学的な視点から捉えたものが、 統計多様体の幾何学である。
本講演では、統計的推論やベイズ推論などの幾何学的手法論を簡単に説明し、 統計多様体の構造についても関連を触れたい。
講演スライド(PDFファイル)

談話会:12月3日(水)16:30〜17:30
講師:会田 茂樹 氏(大阪大学大学院基礎工学研究科)
題目:Semiclassical limit of the lowest eigenvalue of P(φ)2-Hamiltonian on finite volume
アブストラクト(PDFファイル)

6月20日(金)16:00〜17:30
講師:熊ノ郷 直人 氏(工学院大学工学部共通課程数学教室)
題目:相空間のファインマン経路積分と準古典近似
要旨:時間分割近似法による相空間ファインマン経路積分の理論を紹介します。 厳密に言えば、区分的陪特性経路による
相空間の経路積分の時間分割近似法が、 始点と終点に関して広義一様収束する、かなり一般的な汎関数のクラスを与えます。
我々の汎関数のクラスは、運動量の汎関数の一部を排除しているため、和と積に関して閉じていて、 相空間の経路積分が
定義できる汎関数の例を多く創ることが可能です。 また、区分的陪特性経路は、相空間の準古典近似を自然に導きます。

【参考文献】N. Kumano-go and D. Fujiwara, Phase space Feynman path integrals via piecewise bicharacteristic paths
and their semiclassical approximations, Bull. Sci. Math. 132 (2008) 313-357.
5月30日(金)16:00〜17:30
講師:野村 祐司 氏(愛媛大学大学院理工学研究科)
題目:Schrödinger operators with random δ -magnetic fields and the Aharonov-Bohm effect


2007 年度の記録



1月17日(木)16:00〜18:00
講師:土田 兼治 氏(東北大学大学院理学研究科)
題目:Large deviations for discontinuous additive functionals of symmetric stable processes
要旨:確率論における重要な極限定理の一つに大偏差原理があり、証明の一つの方法として ゲルトナー-エリスの定理というものがある。
本講演では、ゲルトナー-エリスの定理を用いて、 時間に対して不連続な加法的汎関数の大偏差原理が証明できることを紹介する。
1月12日(土)16:00〜17:30
講師:石渡 道徳 氏(室蘭工業大学工学部数理科学講座)
題目:On the asymptotic behavior of time global solutions to semilinear parabolic problem involving critical Sobolev exponent
要旨:本講演ではソボレフ臨界指数をもつ, 全空間で定義された 放物型方程式の時間大域解の漸近挙動を扱う.
劣臨界の場合には, 初期値に関す る適切な仮定のもとで, 時間大域解はガウス核に漸近するか, 前方自己相似解に
漸近することが知られている. 一方で臨界ケースでは, 前方自己相似解が 存在しないことが知られているため,
時間大域解の時間大域的挙動は明らかではない. 本講演では時間大域解の漸近プロファイルが前方自己相似解でなく
定常解により与えられることを示し, この事実の, 初期値空間の構造の解析 への応用を議論する.
1月10日(木)16:00〜18:00
講師: 嶽村 智子 氏 (奈良女子大学大学院人間文化研究科・D1)
題目: 斜積によって表現される拡散過程のディリクレフォームと その極限定理
要旨:$[0,\infty)$ 上の拡散過程と円周上のブラウン運動との斜積によって表現される 拡散過程と
それに対応するディリクレフォームを示し, ディリクレフォームの極限定理 について紹介する.
具体的な極限定理の例をいくつか紹介し, ディリクレフォーム に現れる項と極限過程との関係を論ずる.
1月8日(火)16:00〜17:00
講師:Ohsang Kwon 氏 (Pohang University of Science and Technology, Korea)
題目:Existence of multi-bump standing waves with a critical frequency for nonlinear Schroedinger equations with vanishing potentials
要旨:We study elliptic equations of the form ε2 Δu-V(x)u+ u2= 0, x \in RN which derives from nonlinear Schroedinger equation.
Using Lyapunov-Schmidt reduction method, we prove the existence of multi-bump solution concentrating around several critical points of V(x)
which may be zero and may decay to zero at infinity.
12月15日(土)13:30〜17:30
このセミナーとの直接の関係はありませんが、 備前冬季数学祭典 2007(中村 博昭 氏主催) があります。
11月30日(金)晩秋のダブルヘッター

講演その1: 14:30〜16:00
講師:三竹 大寿 氏(早稲田大学大学院基幹理工学研究科・D1)
題目:最適制御と粘性解理論
要旨:本講演では、まずある力学系を下に最適制御問題の値関数を定義し、 この値関数が滑らかと仮定したときに
満たすべき微分方程式を導く。 しかし、この値関数について大域的に滑らかな関数であることを 一般には期待できない。
この値関数が満たす解の範疇としてよく利用されるのが 粘性解と呼ばれる一般解(弱解)である。
講演では, 粘性解の定義について紹介し、 値関数が上で導いた微分方程式の粘性解であることを 確かめる。
また、凸型ハミルトン・ヤコビ方程式の解と最適制御の関連、 一般のハミルトン・ヤコビ方程式の解と微分ゲーム
との関連 についても紹介したい.。

講演その2: 16:30〜18:00
岡山数理物理セミナーとの共催)
講師:福泉 麗佳 氏(北海道大学大学院理学研究科)
題目: Drift and finite-width instability of a NLS soliton by defects
要旨: We introduce several methods to analyze the stability of solitons; 1. Variational methods, 2. Spectral analysis, 3. Numerical observation.
10月26日(金)秋の特別セミナー

講演その1: 13:30〜14:30
講師:浦口 紗千代 氏(立命館大学大学院理工学研究科・M2)
題目:丸山--ギルサノフ変換への代数的アプローチ
要旨:ウィナー測度のずれの変換である 丸山--ギルサノフ変換をウィナー空間の テイラー展開から直接構成することを目標とする。

講演その2: 14:50〜15:50
講師:赤堀 次郎 氏(立命館大学理工学部)
題目:反対称マリアヴァン解析によるソリトン解の構成について
要旨:ウィナー空間(のL^2空間)をクリフォード代数の 表現空間と見ることで佐藤の無限次元グラスマン多様体 を構成し、
それと小谷--池田--谷口によるウィナー 2次汎関数によるソリトン解の表現との関係を論ずる.

講演その3: 16:10〜17:10
講師: 佐々木 洋 氏  (鰍ンずほコーポレート銀行
                みずほ第一フィナンシャルテクノロジー 投資技術開発部シニアフィナンシャルエンジニア)
題目:金融機関における数理ファイナンス理論の実務的応用
要旨:現在、銀行、証券、投資顧問会社などの金融機関で活用される、 数理ファイナンス理論から
生まれた計量モデルの実務への応用例 に関して、その概要を紹介するとともに、 非完備不完全市場
における 金融取引を制御・コントロールする上で実務的に重要となる幾つかの 話題(多期間運用における
非対称リスク測度の役割や、 デリバティブ 価格推定における高次モーメントの考慮、等)に関して、
今後、金融 期間が解決すべき実務的課題の幾つかを述べる。
9月14日(金)16:00〜18:00
講師:塩沢 裕一 氏(立命館大学理工学部)
題目:分枝ブラウン運動の漸近挙動について
要旨:分枝ブラウン運動において、粒子数の増大度および粒子の漸近分布は、
シュレディンガー作用素の最小固有値および固有関数によって支配されることが知られている。
本講演では、これらの結果を紹介するとともにいくつかの例を述べる。
7月4日(水)16:30〜17:30
講師:石渡 聡 氏(筑波大学数学系)
題目:Gradient heat kernel estimate on gluings
要旨:リーマン多様体やグラフ上の熱核の長時間挙動には空間の大域的性質が反映している。
   本講演では、Poincare不等式は成り立つが、熱核の gradientがガウス型評価を持たないグラフを構成し、
   熱核の gradient評価がどのような空間の性質を反映しているのかについて考察する。
6月21日(木)16:30〜17:30
講師:三上 敏夫 氏(広島大学大学院工学研究科)
題目:Marginal problem for stochastic processes via duality

6月1日(金)14:00〜17:20
小研究集会 「PDEと非線形現象の数理
講演者リスト:李 聖林(岡山大学),平岡 裕章(広島大学),宮本 安人(京都大学),滝本 和広(広島大学)